概要

江戸時代といえば平和で穏やかなイメージがありますが、その司法制度は現代とは全く異なる過酷な世界でした。八代将軍・徳川吉宗が制定した「公事方御定書」は、犯罪の抑止力を高めるために極めて厳しい刑罰を規定しており、軽微な窃盗でも死刑になるなど、現代の感覚では計り知れない厳格さがありました。

特に注目すべきは、罪人が収容された「伝馬町牢屋敷」の凄惨な環境です。そこは単なる拘置所ではなく、囚人同士の自治という名の暴力と賄賂が支配する地獄でした。一方で、火災時に囚人を一時解放する「切り放ち」という制度に垣間見える人間ドラマなど、当時の社会が抱えていた矛盾と葛藤を掘り下げます。